第2章 作業方法・植木職の運営
c40b0058.jpg c40b0060.jpg c40b0052.jpg
第2章
第1章
c40b0058.jpg c40b0060.jpg c40b0052.jpg
第2章
第1章
資料
資料

1.植木職としての心得

 次に示す事を心掛ける事で身の安全を守り作業効率を高めお客様の信頼を得ることに

なります。

@信頼

A安全

B作業手順

C作業効率

D道具

F体制

G育成

H新人の心得

I庭・木を知り基本を学び応用する。(第1章に示します)

1.1 仲間の信頼

 1.1.1 植木職として仲間の信頼は何処から生まれてくるか

  @ルール・時間を守っている。

A作業手順を守り、責任者の指示に従っている。

  B作業の取り組みが前向きであり、作業にメリハリをつけている。

  C自助は勿論ですが、共助・協働の意識を持ちグループに貢献・協力している。

  D先輩の指導を素直に受け止め、技術習得に努力している。上達のコツです。また、

日本園芸協会の庭園技術講座の通信教育講座で資格を取得する等努力している。

  E限りある作業時間を考え作業を行っている。

  F自分のレベルに応じたチーム内作業に貢献している。

 1.1.2 お客様の信頼

  @仕事の最初はお客様に電話で見積もり案内から始まります。その際初めてのお客様

か馴染みのお客様かどうかで対応は異なります。又電話で案内する場合の応対技術

も必要です。          見積もり訪問の電話での対応方法等  資料1

A見積もりに伺った時、初めてのお客様と何回かシルバーに依頼し経験をされた方で

は対応は異なります。一般の方は、書面よる契約をイメージします。その点シルバー

は、口頭契約ですから相当荒っぽいものです。シルバーの契約がどのようになってい

るか丁寧に説明・納得していただく事が大切です。

          初めてのお客様への対応  資料2

  Aシルバーを経験しているお客様でも、馴染みのグループ(責任者)が対応する場合と、

   初めてのグループが行く場合とではお客様との対応は異なります。

馴染みのグループであればポイントを押さえた要望・確認をすればお客様は安心し

て任せてくれます。初めてのグループが対応する場合、事情等を説明し改めてお客様

の要望を丁寧に確認する必要があります。

  Bお客様には若い方やお年寄りもいます。特にお年寄りは口頭で伝えた場合は、作業日

や梯子の搬入、ゴミ処理や金額で思い違いや記憶違い等で、お客様と行き違いが生じ

る場合があります。また、お客様都合で延期や取り消しなど生じる場合もあります。

このような場合に備えた確認表をお客様にお渡しするのが良いと思います。

                         お客様確認表 資料3

  C見積もりの金額は一般的に実績とは異なり大きく見積もられます。お客様は随分高

いと言われる場合があります。その事を念頭に清算処理される事を丁寧に説明する

必要があります。

  Dお客様と金額が折り合わない場合にお客様が納得するような形で様々な提案をする

必要があります。例えば、今年と来年の2度に分ける、作業の対象を限定する。ゴミ

処理をお客様で行う等様々な提案をしてお客様と折り合いをつける必要があります。

極端な無料サービスは次に伺うグループの対応に影響しますので安請け合いをして

はいけません。またグループの熟練度やベテランの構成でも変わってきます。

  E経験の無い新人が加わる場合、従来人数プラス一人で1人前の費用を取られたので

は見積金額がアップしお客様は不満に思います。一方、従来の人工で見積もりを出し

た場合、仲間は従来の人工を維持しようとして時間超過になる場合も出て来ます。

だからと言ってお客様に超過時間分のお金を下さいとは言えません。新人には早く

慣れてもらうため育成を確り行う必要があります。また、しばらくの間新人の実績時

間の調整も必要かもしれません。

F庭として俯瞰し、技術的見地からお客様に適切な助言行います。適切で具体的な提案

 を適切にしてくれていると思っていただければお客様の信頼を得る事になります。

Gお客様の要望については、タイムリーに適切にお客様に確認しつつ作業を進めるこ

とが、お客様の安心・信頼につながります。やがて信頼し任せて頂けるようになりま

す。

Hメリハリ有る作業によりお客様に不信感を持たれないようにすることが大切です。

休憩が長いとサボッていると思われます。

挨拶・作業時間・休憩・清掃・技術的に根拠の無い乱暴な整枝等です。

I玄関周りや目につくところの樹木の手入れが進んでないとお客様は不安に思います。

 このような所は早く手をつけます。

  J特に、目につくところの清掃がいいかげんですと手抜きをしていると思われます。

全てきれいにすると言う事では無く、メリハリのある清掃が大切と言う事です。

2. 安全

  @梯子から落下し骨折するなど重い怪我をすれば、定年を迎えた人生の全てが台無し

となってしまいます。特に安全を心掛ける事が大切です。

  A安全上4脚の梯子は避けます。平らで固い所ですと問題ありませんが、作業現場

は様々です。極力、3脚の梯子を使うようにします。また、梯子の最上段はバランス

を崩すと落下につながります。最上段は、梯子をロープで固定、安全性を確保し、使

いします。

  B安全は本人だけが注意することではありません。お互いに注意し事故を起こさない

ような作業・配慮や声かけが重要です。例えば梯子の足の下のゴミでロープが隠れて

いることを知らずにロープを引っかけてしまい梯子が揺れ落下した実例があります。

梯子に一寸触れられてもビクッとします。場合によっては落下する事にもなります。

作業はお互い細心の注意を払う必要があります。

  C身を守るための基本的なことを守ります。特にシルバーから注意・指導がある場合

   に事故を起こせは自己責任となる可能性があります。

・安全ベルト、ロープ

・梯子の最適な選択・安全な使い方

・樹木の高さ制限

・大木の伐採の仕方(家屋を壊したり怪我の元となることがあります)

・道具の使い方や手入れ

・チャドク・ハチ対策の防護衣類・薬等
         
・雨等の天候に対する適切な対処(作業の中止・雨具等)

  D作業を行う心構えを持つことが大切です。
・面倒くさがらずに梯子の配置を変える。これが第一です。

   ・慎重で且つ大胆に。高所の梯子では苦手な人は下を見てはいけません。面倒でも安

全ベルトを確実に使いこなします。
・足場が枯れた枝や折れやすい枝の場合折れて落下する恐れがあります。

・ハシゴを足場に上に登る場合必ず梯子を木にロープで固定します。

・お客様の建物等を破損させた場合などお客様に正直に話し責任を持って対処する

 姿勢が大切です。

   ・梯子が特大でも届かない高所は、危険でシルバーには不適です。シルバーの方針を

良く説明し理解を頂き天頂部を伐採させていただくか、お客様に了解頂けない場

合は丁重にお断りします。

  E梯子の架け替えや自分独りでの作業が技術的に難しい場合無理せず応援を頼みます。

  F梯子で落下する事故が多くあります。高所よりも気が緩むせいか低い所で落下する

場合が多くあります。

  G梯子の位置、置き方で安全で楽に作業が行えるようになます。なかなか難しいようで

す。ベテランは新人の作業状況に気を配り実地に指導する必要があります。

3. 作業手順

 3.1 グループリーダの役割

  @グループリーダのリーダシップでチームが円滑に運営できるかどうか決まります。

そのためには全員がグループ内の作業を理解し共有することが大切です。役割はや

つてみて理解出来るものです。グループの作業・役割を順次交代することで協働意識

を高めることが出来ます。

       グループ内作業分担 資料4

  A見積もりはベテランが行えば早いです。しかし、現場作業を円滑に進めるためにも見

積もりはグループ全員参加で行い作業内容・お客様の要望等皆さんで共有すること

が大切です。

B後々にお客様と齟齬を生じさせないようお客様に見積もり時の重要な確認事項を確

認表としてお渡しすることが大切です。                      

  C作業当日グループリーダの一番大切な事は、全体の作業手順を考え、個々の作業を誰

に分担するかです。

   ・工数・作業時間は決まっているので作業が予定の時間で終わるように、作業の難易度・作業の早い人遅い人、新人の育成などを考慮し当日の配置・手順を指示します。

   ・リーダは適宜作業状況を確認し、作業が遅れている場合は、作業の相互支援など遅

れを回復する手立てを考えます。

   ・又技術的に問題がある場合は、直接指導するかまたは助言者を指名し支援すること

も必要です。特に新人の場合こまめに見守り指導します。

   ・大きい樹木からとりかかります。低木等は早く終わった人が処理します。

   ・目立つ樹木の作業は技術的に確かな人を担当させるとお客様は安心します。

  D放置され荒れていた場合等で作業工数・枝処理等が超過すると思われる場合は、お客

様と調整し見積もり額の変更等をお願いします。大きく超過した場合は、履行確認書

に超過理由の記載を求められます。

  E作業日程の計画は雨・追加作業等を考慮し。予め金曜日を予備日として確保しておく

と便利です。また雨等で中止した場合でやむを得ない場合は、土日の作業も考慮する

ことも必要です。

  F当日、雨・台風などで中止する場合は、朝の何時とか時間を決めて皆さんに連絡する

ようにします。

G作業中の雨は、昼休等休憩の配分・時間超過で終わらせるか、雨が止む見通しが

無い場合は思い切って作業を打ち切るか決めます。翌日に新たなお客様対応がある

場合はそれを優先させ、打ち切った作業は土・日で対応することも考えます。

何れにして健康第一で考えます。

  H雨やお客様都合等で計画が変更になる場合の事務所との対応

計画の変更は梯子の運搬・ゴミ処理計画の変更になるので、速やかに事務方に連絡す

る必要があります。電話では齟齬が発生するので植木職班日程計画表(変更依頼)を提

出する必要があります。

また、新たな追加案件が発生し、日程上迅速な対応を求められる場合があります。馴

染みのお客様であれば、電話で確認し日取り等を事務方に連絡します。いずれの場合

も事務所にすぐ持参出来るわけでも無いので、植木職班日程計画表をオンライン

(FAX)で提出し、正式な処理は後日行うことも考えます。

                           植木職班日程計画表 資料9

4. 作業効率

 4.1 常にどうしたら作業を早く・楽に・きれいに出来るかを考えながら作業する事が重

要です。

   @無駄に労力をついやしていないか、どのような手順で作業すれば作業効率が上が

り安全に早く作業が出来るかを常に考えながら作業をする事が大切です。

   A庭全体を見て庭の景観を阻害している木は無いかまた、植え過ぎて混み合ってい

ないか、又不要な木や枝が無いか等全体を見ることが大切です。

伐採した方が良い樹木や大きな枝があればお客様に提案します。受け入れられれ

ば庭の景観も良くなり手間も省けお客様の信頼が得られます。

   B作業準備に多少時間を掛けても作業効率が上がれば必要な事として行います。

端的な例が清掃のためのシートです。

    マキ・カイヅカ・チャボ等細かいゴミはシートを敷かなければきれいに取り除く事

は難しく時間もかかりします。

 一方マツなどの場合は枝や葉がそのまま残るのでシートを敷かなくてもレーキを使

 えば簡単に取り除く事が出来ます。シートは数に限度もありケースバイケースで有

 効に使うようにします。

   C切り戻しの原則は何より重要です。何も考えずそのままの樹形で刈り込んでいる

場合が見られます。放置するとドンドン大きくなってしまいます。

大きな樹木で特に樹形を乱している太い枝の有無を最初に見極め払います。

ヒコバエの取り残しが脇枝となり、やがて枝は太く堂々として当然のよう存在し

誰も不思議に思わなくなりバランスを崩す元凶となっている事があります。

このような枝は、思い切って払います。結果、手間も省け樹形も整い風通しも良く

なります。

   D切り取った枝の片づけと束の作り方

    枝の片付けは簡単なようですが、作業時間は倍以上かかると考えて作業計画を立

てます。ゴミの片付けをせずドンドン作業を進め夕方暗くなり片付け作業が残り

困ることにもなります。作業は剪定とゴミ処理も含めて1ケ所毎に片付けて行く

のが基本です。

枝の片付けは新人とベテランでは作業時間は大きく差が出ます。新人は最初の内

は枝の片付けを確りと修得する必要があります。結果、グループ全体の効率も上が

ります。

枝を短く切り丁寧に束ねているのを見かけますが時間が掛かり全体の効率に影響

します。束は決められた長さを目標に早く束ねるようにします。きれいに束ねたか

らと言って誰も褒めてはくれません。

   E清掃

    ゴミの片付けで小型の熊手を使う人が多く見受けられます。腰を屈め楽では無く、

作業効率も悪くなります。普通のレーキを用いるようにします。

    竹箒も使い古した先が坊主になるのを使っているのを多く見かけます。何度も掃

かなければならず疲れるだけで、しかもきれいに掃けません。安いですので新し

いものに交換するようします。

   F新人の方など先輩に気を使いあちこちから言われるままに走り回る人がいますが

良くありません。一つ一つ作業を片付けるような配慮が必要です。

夕方で時間が不足する場合、ベテランは剪定に専念し新人はゴミの片づけに専念

してもらう事も必要になります。

Gまたベテランの方であちこち手をつける方がいますがそれもいけません。ベテラ

ンは一つ一つ片付ける基本を守り見本となるようにします。

   H梯子の使い方

    梯子の使い方は、安全上も大切ですが作業効率上極めて重要です。

    梯子は色々な置き方を工夫して見ます。しかし判らないものは判らないものです。

そのような時は先輩が実地に指導し、やって見せることが大切です。

   I新人で建設の経験のある方等は、安全ベルトを常時携帯する方が見受けられます。

建築現場の高所作業と違い、高い木の枝や葉が混み合った所ではベルトが引っか

かり動作を妨げます。腰のものは必要なものを携帯するようにします