13. 押しブチの取り付け

 ・ 押しブチは唐竹を半割りにしたものを使用する。また竹の裏側の節は抜き、押ブチとして取り付けた場合に浮き上がらないようにする。

 ・ 竹の切断、止め方等は胴ブチと同じである。

なお仮止めは極力隠れるようにする。写真下右のよう胴ブチと立子および押ブチ一体として仮止めを行った例であるが、極力結び目などの位置で取り付け目立たないようにすると見た目にも良い。

垣付けは押しブチで隠す      押ブチは銅線で表裏を仮止め、端は柱にネジ止め

14. 笠竹の取り付け

 ・ 笠竹は裏の節を丁寧に抜き、下図のように胴ブチ・立子・押しブチまとめて内側に入れて傘の役目を持たせる。  

 ・ 玉飾りの位置で仮止め後、最後に玉飾で結束する。

 ・ 立子は押ブチよりもややはみ出るようにし、安定させる。また、立子の上端が不揃いなものは笠竹が安定しない原因になるので切り揃える。

●笠竹の切断

  笠竹は、竹の内側が柱の円周に沿う形で下図のようにノコで切断する。

 

15.  立子と玉飾りの結束

  

全体のイメージは次の写真に示すとおりである。

@      玉飾りの結束位置をマーキングする。

A     基準となる玉飾りは親柱から3枚目の位置に結束する。(立子3枚を末口にするのと同様に決まりである)

B      この基準となる玉飾りの位置に合わせて3段目と5段目に男結びで結束する。

C     間の玉飾りはバランス良く配置し同様に3段目と5段目を男結びで結束する。

D      この中間は2段目と4段目及び6段目を男結びで結束する。

E     男結びはドライバで隙間を開けクリ針を用いてシュロ縄を平行結びで結束する。

(この場合垣付けがきつく締まっていると作業性が悪い)

 

 

 

 

くり針を通す場合、剪定バサミ等を用いてコジ空ける方法でも良いが、ドライバを用いれば隙間を空けた状態でそのまま留めることも出来、また結束中はドライバを押ブチの間に差し込んでおくことも出来るので作業性が向上する。

くり針を通す場合、剪定バサミ等を用いてコジ空ける方法でも良いが、ドライバを用いれば隙間を空けた状態でそのまま留めることも出来、また結束中はドライバを押ブチの間に差し込んでおくことも出来るので作業性が向上する。

F      仕上げの玉飾りで、基準となる玉飾りは立子の3枚目をまたぐ形で結束する。

玉飾り、男結び、裏二の字結びの結び方は「参考資料」を参照のこと。

G     玉飾りはシュロ縄3本を一対として予め1.5m程度に切断し、扱い易いようにして結束、写真のように計6本の飾りを約20cm程度の長さに整え切断し先端を結ぶ。

H     一重垣の裏面は通常見ることは無いので平行結びのままで良いが、表と同様結びを作る場合は平行結びに別のシュロ縄を通して改めて男結びで結束する。

一重垣の表の結束                裏の結束

16.  二重垣の設置

二重垣は写真のように胴ブチを「忍び」として用い、その忍びの両面に立子を取り付け、立子を表裏両面から押ブチで抑える構造であり、その他の手順は一重垣と同じである。特に留意する事項を以下に示す。

@     今回の二重垣は、半間程度と短いので「ぬめ」の下支えは行わない。

A      胴ブチの役目をする「忍び」を表裏交互に取り付けネジ止め。

 

  B      表裏の立子が揃っていないとクリ針が通らないので結束が出来ない。表裏でズレがあり曲

   がりのある立子は使用しない。

 C 裏面は見る事を前提とし立子を二重にしているので、裏の平行部分を男結びで結束する。

写真のように忍びを割り竹で取り付けた場合、腐りが心配である。実際は鉄棒またはアルミパイプ等を用いる方が良い。丸棒の方がノミを使う必要も無くドリルで済むので便利である。

   左端の親柱を設置                      真ん中の親柱に「ぬめ」の取付

「忍び」の取付                                表裏の立子を垣付

上端の押ブチと表裏の立子を仮止                       玉飾りの結束

 二重垣の表                                   二重垣の裏

17.  仕上げの確認

作業に手抜かりがないか確認を行う、建仁寺垣は実用的な所もあるが美観も重要な要素である。

@     不要な仮止めは撤去する。

A      地面をならしまた、部材やシュロ縄の端切れをゴミとして集め処理する。

B     ネジ止めの箇所にモレは無いか。

C      男結等の結束にモレが無いか。

D      玉飾りは見苦しい形になっていないか。

E     最後に濡れ雑巾で表面の汚れを落とす。

 

18.  あとがき

本資料は今回の実習に参加した宇井が「作成の目的」に示す趣旨により作成した。改めて講師の「渡辺政満」さんに感謝申し上げます。

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